本日は正社員の待遇が悪くなる可能性について非正規労働者が戯れ言を語る。
メインは同一労働同一賃金の弊害についてだ。
先日、日本郵政について気になる報道が出ていたので、この件について僕が思うことをお伝えする。
中身は正社員が最強という考えが根強い日本の労働社会の仕組みが変化をするかもしれない話となっている。
朝日新聞デジタルより
参照記事:日本郵政の労組、正社員の一部有休削減を容認へ 非正規と同じ日数に
記事の要約
日本郵政グループの最大労組、日本郵政グループ労働組合(JP労組、約23万人)が夏期・冬期の有給休暇を期間雇用社員に1日与える一方、正社員は1日に減らす会社提案を受け入れる方針を固めた。
夏冬の有休は2020年10月の最高裁判決が「正社員と非正社員の間に不合理な格差がある」と判断。
会社側が見直し案を示していた。
6月の定期全国大会に執行部が受け入れを提案し、了承されれば今年10月から実施される。
JP労組は、夏冬の有休を減らす代わりに、正社員の基本給を月額で一律3200円引き上げることを要求。
会社が受け入れ、このうち1600円分は4月から実施されている。
夏冬の有休は現在、郵便業務につく正社員には3日ずつ、アソシエイト社員(期間雇用から無期雇用に切り替えられた社員)で1日ずつ期間雇用社員には有給がない。
会社提案の受け入れが決まればすべて1日ずつに。
郵政グループ全体に適用される。
結論
つまり、正社員の待遇が悪くなって非正規労働者の待遇が改善される。
変更ポイントは
・正社員の有給が春夏合計で有給休暇が2日ずつ減る(合計4日)
・無期の非正規労働者は現状維持
・有期の非正規労働者は有給が夏冬で1日ずつ(合計2日)の有給がもらえる
となる。
ちゃんとした会社なら、正規・非正規共に有給休暇は年間で10日以上貰えるルール。
ルールとは別で、特別に貰える有給休暇なのかは不明。
結果的に正社員の待遇が悪化した
正社員の有給は実質的な買い取りである。
有給休暇が1日当たり月額1600円の基本給アップと相殺されることになる。
貴重な休暇が1日あたり月額1600円の給料アップ(年間で19200円の給料アップ)という「端金」で消えるのだ。
しかも給料は課税対象であり、各種税金や社会保険料を天引きされると実質的にはもっと安くなる。
主からすれば労働組合がこの条件を飲んだこと、要求した事が意味不明でもある。
はっきり言って正社員にとっては忙しくなるだけの改悪だ。
休暇がいらないから給料をたくさん欲しいと思っている人以外にはメリットのない話である。
一番得をするのは日本郵政側
これまで有給休暇が取得できなかった有期の非正規労働者にとってはラッキーな話。
だが、それ以上に従業員の有給休暇を激安で相殺できる日本郵政が超ラッキーな話と言える。
従業員に給料を払って休暇を与える有給休暇を使用させずに、有給休暇1日あたり月額1500円の給料アップとかいう低価格で重労働をさせることができる。
企業側にとっては、どうせ金を払うくらいならたっぷり働いてもらった方が有り難いというお話である。
日本郵政グループ
日本郵政グループは主に以下4つのグループ企業から成り立つ。
・日本郵政→グループの運営管理
・日本郵便→今回の話のメインで郵便業務や運送事業を行う。
・かんぽ生命→保険事業
・ゆうちょ銀行→金融事業
グループ全体の利益は、国内最大手のかんぽ生命とゆうちょ銀行の業績が大きい
この歴史ある2つの企業は、顧客数が圧倒的に多く、集めた資金での資産運用が利益の大部分となる。
グループの利益は大部分が資産運用や投資によって生み出された運用益が大きいと言える。
影響を受けるのは郵便事業
今回の話は、日本郵政グループ全体が対象とあるけど、メインは郵便事業に携わる社員が中心になる話だろう。
郵便事業の中心は郵便配達業務で多くの人材が働いている。
ネット通販等が普及した現代で物流量が増えたため郵便業務で働く人は超激務。
楽天グループやNHK等の大手企業が提携したことで仕事が死ぬほど増えた。
その郵便業務に携わる人材は正社員から非正規労働者、業務委託まで様々。
漏れなく誰もが激務多忙となった。
その郵便事業において、日本郵政が直接雇用する正社員と非正規労働者(無期・有期)で待遇格差が指摘されてきた。
今回はその格差を無くす取り組みで正社員側にしわ寄せが来たって話である。
同一労働同一賃金制度
きっかけとなった同一労働同一賃金制度が2020年4月より適用されて、大手から将来的に多くの会社で導入されることになる。
制度によって同じ仕事をする人間の労働格差が生まれないようにするのが目的である。
これを守らなければ会社が違法になる。
この制度がスタートすることによって多くの非正規労働者が正社員と同じ待遇を得られると期待した。
主は良くも悪くも同一労働同一賃金制度が日本の労働システムを変えると予感した。
ただし国民目線では改悪であり、多くの国民に不利な制度へと生まれ変わった。
結果的に日本郵政では正社員の待遇を非正規労働者側に合わせる方向になった
世間のイメージだと非正規労働者を正社員の待遇に引き上げるカタチだったと思う。
でも現実は、正社員を非正規労働者の待遇に帳尻を合わせるカタチで決着した。
同一労働同一賃金制度の影響で、今後は大手企業を中心に社員の待遇が見直されていくことになる。
公務員はもちろん民間企業にも制度の運用が求められる制度改正だ。
同一労働の基準
まず何を持って同一労働とみなすかは不鮮明な部分もある。
・業務による責任の重さ
・職場での立ち位置
・細かい仕事の処理
など目には見えにくい箇所を無視して同一労働とみなして良いのか等の意見もある。
現状ではこういう細かいポイントを理由に、完全な同一労働同一賃金制度が実現されていない。
どちらかというと制度は誰が見ても判断しやすい単純労働ほど制度の影響を受けやすい。
例えばバイトだけでも運営できる仕事が挙げられる。
誰でもできる単純労働の仕事ほど厳しくなるのが目に見えている。
企業が労働者の待遇を改善できなくなる制度
制度の影響で正社員の待遇を上げると同時に非正規労働者の待遇も改善しなくてはいけない。
言ってしまえば非正規労働者の待遇を改善する資金的な余裕が無い会社ほど待遇を改善できない。
逆に非正規労働者の待遇を改善すると正社員の待遇も見直さなくてはいけない。
だからどちらの待遇も最低限度で抑えておくことが雇用側にとってメリットがあるのだ。
そうした仕組みで労働者全体の待遇改善には繋がらないケースもある。
労働者全体が低い水準で抑え込まれてしまうからだ。
給料が上がらない社会がずっと続く制度になってしまう。
本当の意味では労働者間では格差があり、一律で同じような待遇で縛り付けるよりも、頑張っている人が評価されるシステムの方が幸せなのかもしれない。
頑張る人が不遇な扱いを受け、頑張らない人が得をするシステムでもある。
正社員登用制度と絶望的に相性が悪い
ただし同一労働同一賃金制度そのものは悪い制度ではない。
ここまでの話では同一労働同一賃金制度は悪いものに見えるかもしれない。
ただ日本の正社員制度との相性が絶望的に悪いだけの話である。
実は正社員制度は日本特有の制度で、外国では正社員にあたる言葉もない。
つまり海外は基本的に非正規労働者が中心である。
しかも、有期・無期を含めて労働者の解雇がしやすい環境にある。
アメリカなど解雇規制が特別ゆるいわけではないけど、日本よりも解雇に対する世間の風当たりは大きくない。
日本はリストラや人員削減という言葉にマイナスイメージがある。
徹底的に民間人から叩かれて、マスコミのオモチャにされて、企業イメージを損なってしまうのだ。
だから日本企業は積極的な解雇に踏み切れない事情がある。
正社員登用制度は会社の負担が大きい
そんな日本の正社員は、一度雇うと解雇が難しい仕組みである。
会社の業績に関わらず待遇を維持して雇用を続けなくてはいけないのだ。(バイトも同じ。)
しかも、日本では正社員の待遇を一度上げてしまうと下げることができない。
合理的な理由がないと上げた給料を下げることは違反となる。
しかも社会保険制度の影響で非正規労働者の会社負担も大きくなっている。
日本の会社にとって従業員の待遇改善は死活問題になるってわけだ。
なので日本の企業は最低限の正社員と多数の非正規労働者を利用することが長期的な運営に繋がる。
正社員登用制度の存在が派遣社員を増やした
企業として、どうしても人材が不足した部分は派遣社員を一時的に利用する。
派遣社員は自由なタイミングで解雇ができるから企業の負担にならない。
もちろん運用コストは高めになるけど長期的な負担にならない。
不要になったタイミングで派遣切りをすれば良いからだ。
派遣社員は派遣切りするために存在する。
派遣社員は人件費ではなく経費扱いなので消費税の節税など税金対策に繋がる。
なので派遣社員を雇う方がメリットある企業は、その分だけ直接雇用を減らす。
結果的に正社員の枠が減る流れになる構図である。
派遣社員を食い物にする中抜き企業が蔓延しても、派遣社員を雇う方がメリットのある企業がたくさんある以上は、不遇な派遣社員はいなくならない。
正社員登用制度があるから、派遣社員を必要とする企業が生まれたと言える。
その需要に応えたのが小泉政権であり、政権を支えた竹中平蔵氏らが非正規労働者の規制緩和という改革に大きく関与した。
なので派遣社員が増えた原因は、正社員制度と解雇規制の影響である。
政府も非正規労働者を増やす
公務員も多額の税金を支払って中抜き派遣会社に人材を派遣してもらう時代になった。
正規の公務員は一度雇うと限られた予算で定年まで雇用しなくてはいけないから、長期的なリスクを避けて、非正規公務員を増やす方向へと動いた。
派遣社員のほうが多少コストが高くても、長期的に予算を食いつぶさない。
必要なくなったら、いつでも解雇できる非正規公務員を増やして、政府の簡単な仕事を任せる。
その仕組みに気がつかずに、正規雇用を目指して健気に頑張っている若者もたくさんいるわけだ。
結局使いつぶされて、契約満了と共にお払い箱になる。
アルバイト公務員として、なんのスキルも身につかないまま年齢ばかり食ってサヨナラ。
同一労働同一賃金制度では国民の給料は増えない
日本人の給料が増えない理由も同じく、正社員登用制度と解雇規制が大きく影響している。
日本人の給料が上がらないのは、正社員で働きたい人が低賃金で働き続けるからである。
企業側も、その正社員を簡単に解雇することができないから賃金を可能な限り最低限に抑える。
逆に自由に解雇ができて、雇用の活性化が行われると自動的に労働者の待遇が改善される。
人材を必要とする企業間での競争が生まれるからだ。
正社員登用制度がなく、人材を奪い合うほど賃金が上がっていく。
日本が海外の平均賃金に追い抜かれてしまった理由もここにある。
ただし解雇されるリスクも常に付き纏う。
同一労働同一賃金制度は正社員制度が採用されていない国こそ機能する。
失われた40年が確定
次に同一労働同一賃金制度のデメリットについても考えてみる。
まず能力が高い人は給料が高くなり職に困らない。
一方で能力が無い人ほど仕事が少なくて低賃金な仕事しかできない世界になる。
ある意味では非常にシビアで残酷な世界でもある。
本来なら、そうした弱者を生まずに安定して暮らせるための制度が正社員制度と解雇規制である。
それでも生まれてしまう弱者を救済するために制度として生活保護が機能すればいい。
日本の制度が機能するうちは労働者は安心して働ける。
だけど、それと引き換えに労働者待遇が良くなっていくことは無いとも言える。
日本の情勢を考えると物価や各種税金がアップしているのに、労働者全体の待遇は30年変わらず低い水準で現状維持のまま。
失われた30年なんて揶揄されることもあるけど、たぶん40年経っても日本の平均的な給料は同じ水準のままだと思う。
失われた40年はほぼ確定。
むしろ実質的には手取りがさらに減って貧しくなる未来が見えている。
まとめ
同一労働同一賃金制度で正社員の待遇が改善されることはない。
むしろ非正規労働者の方が待遇が改善されていく傾向にある。
長期的に正社員は非正規と同じようにボーナスカット、退職金無しになっていくかもしれない。
だからと言って無理に非正規労働者をやる必要は無いけど、絶対的な特技が無い人は正社員のまま会社が潰れるまでしがみつく方がお得だ。
もし待遇が良くなっていく事を期待できるのなら正社員待遇を存分に堪能しよう。
もし不遇な正社員雇用をされている人は、アホみたいな待遇で働き過ぎずに正当な報酬を得る働き方を目指してみてはいかがだろうか?
本日の記事は以上となります。
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ではまた次の記事でお会いしましょう。
迷える子羊ちゃんに幸あるように。。。
グッドラック!
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