先日、「ひき逃げ」の罪に問われた被告に対して逆転無罪の判決が出て話題になった。
これは2015年に発生した交通事故の裁判で、被害者の両親のコメントが大きな反響を呼んでいる。
その際に母親が残したコメントで「こんな国に産んでごめんね」と報じられた。
そのコメントを見て、日本の司法や法律はおかしいのでは?という意見も持ち上がった。
今回は、この件について語りたい。
長野放送より要約
参照記事:両親「息子にかける言葉ない」 中3男子死亡事故 高裁「ひき逃げに当たらない」一審破棄“無罪”判決
2015年、長野県佐久市で中学生の男子生徒が車にはねられて死亡した事故。
「ひき逃げ」の罪に問われた被告の控訴審判決が東京高裁で開かれた。
長野地裁の一審の判決を破棄し、無罪を言い渡した。
事故は、2015年3月に佐久市の横断歩道で、当時中学3年生の男子生徒が車にはねられ死亡。
運転していた男性会社員の被告は、すぐに救護しなかったとして、救護義務違反・「ひき逃げ」の罪に問われた。
そして2022年11月、長野地裁が懲役6カ月の実刑判決を言い渡す。
被告は事故を起こした後、飲酒運転を隠そうと近くのコンビニ店で口臭防止剤を買っていた。
被告側はすぐに戻り救護し、「ひき逃げに当たらない」と主張。
長野地裁「飲酒運転の発覚を回避しようとした行為は救護とは対極にある」
判決を不服として被告側が控訴し無罪を主張。
28日、東京高裁で控訴審判決。
田村裁判長「被告がコンビニで口臭防止剤を買って戻るまでの時間は1分余りで、すぐに救護している」
「飲酒運転の発覚を免れようとする意志と救護しようとする意志は両立する」
なので「ひき逃げ」には当たらないとし、一審の判決を破棄し、被告に無罪を言い渡した。
被害者の両親が、独自で証拠を集めたり、4万筆以上の署名を集め、「ひき逃げ」で起訴を求めてきた。
被害者の母
「被害者の生命や体の保護を全く無視した判決。最低の判決です。こんな国に産んでごめんねとしか言えないです」
東京高等検察庁次席検事「検察官の主張が認められず、第一審判決が覆されて無罪とされたことについては、誠に遺憾である」
検察は上告を検討している。
長野放送より
無罪判決
裁判は2審まで行われて無罪判決が出た。
ただし裁判結果が確定したわけではない。
検察側が上告すれば最高裁まで争われることになる。
そこで再び逆転の判決が出る可能性があるので見逃せない。
今回の逆転判決には様々な反対意見があるが、主は、ある程度理解できる無罪判決だったと思う。
両親の気持ちを考えれば遺憾ではあるが、司法の仕組みを考えると納得できる判決である
事件のポイント
①過去に事件の裁判が行われ被告の罪が確定した
②今回、改めて「ひき逃げ」の罪を訴えている
③被害者のかわいそうな部分だけ切り取って情報が広まっている
過去に「過失運転致死傷罪」として、すでに被告は裁判にかけられた。
刑罰は最高で懲役7年。
その際に、執行猶予付きの判決が出て、被告は服役せずに猶予期間を過ぎたとのこと。
被告は事件の罪を償って、社会復帰をしていることになる。
この事故で飲酒運転を疑われているが、当時は危険運転致死傷罪(最大懲役20年)が適用されなかった。
つまり一度確定した有罪の事件を蒸し返しているって話である。
被告も罪を償っている状況で、有罪が確定した事件について、改めて被害者側が「ひき逃げ」で訴えている状況なのだ。
事件を蒸し返し、ひき逃げ犯として改めて懲役6ヶ月の判決が1審で出ていた。
それが2審で逆転無罪となったってわけである。
ひき逃げ
裁判の争点は「ひき逃げ」に当たるのかどうかだ。
被告は一度コンビニに行ったが、1分ほどで戻り救護をしている。
なので無罪が出た理由は
・コンビニへ行った理由は、基本的に裁判と無関係な話
・何分以内に戻らないと「ひき逃げ」に当たるという明確な法的根拠が無い
などが挙げられる。
無罪判決が出た理由
だけど、2審で逆転無罪が出た一番の理由は、過去に有罪が確定して、被告が罪を償ったからだ。
これが一番大きい。
実は、裁判の原則として、一度有罪が確定した事件について再度裁判で争うことは無い。
死刑囚の再審請求など、特殊な例は存在するが、実際に再審が行われるケースは稀(ほぼ却下)
しかも被告側がやり直しを求めるケースであり、被害者側が再審を求めてやり直されることはない。
過去には、テレビゲーム「逆転裁判」でも、一度確定した裁判で再度争うことが出来ないルールが登場した。
主もプレイしてよく覚えている。
間違った証拠で被告の無罪を証明したけど、あとから実は有罪でしたってエピソードだった。
でも被告を、もう一度裁判にかけられないので、被告は完全無罪ですというパターンになってハッピーエンドで終わる。
それで良いのかと思うような展開だった。
というわけで、この事故で両親の気持ちを考えると、被告に可能な限り重い罪をかぶせてやりたい気持ちはよくわかる。
だけど司法の原理を考えると、実際には難しい話だったといえる。
どうするべきだったのか
では被告にしっかりと罪を償わせるには、どうすればよかったのか。
それは、事件当時に被告を起訴する段階で、いっぺんにすべての罪を訴えるべきだった。
事件当時に「ひき逃げ」や「飲酒による危険運転」の適用がされなかったことが1番の原因。
被告男性は、結果的に今では考えられないほど軽い罪で済んだ。(最大懲役7年も執行猶予付き)
では事件当時の関係者はどんな状況だったのだろうか。
①捜査をして証拠を集めて起訴をする検察側が超無能だった
②被告側の弁護士が超有能だった
主の予想では検察が超無能かつ、被告側の弁護士が超有能だった結果と察する。
もしくは検察側がひき逃げとして立件できるほどの証拠を集められなかったパターン。
再度の裁判では、一審で「ひき逃げ」の有罪判決が出た。
なので二審も勝てるだろうと被害者側の弁護士が舐めてかかっていた可能性もある。
司法の原則
だけど今回の件で、結果的に過去の有罪事件を覆すことはできないというルールに則って、裁判長が被害者遺族の訴えを却下した。
被害者遺族には同情するけど、司法の仕組みとして考えたら、主は裁判長の判断を支持する。
裁判長は、法律に則って、しっかりと仕事を果たしたのだ。
もし一度確定した裁判で、被害者側の気持ちを優先して、何度も簡単に罪を上乗せしたり、裁判を一からやり直せるようにすると、被告の社会復帰に影響が出る。
裁判の仕組みとしても、やりたい放題できるし、冤罪だって生まれかねない。
この件で、無罪を言い渡した司法の判断は、基本的に正しいのではないかと思う。
「こんな国に産んでごめんね」という母親の気持ちには同情するけど、司法がしっかりしている国なので、おかしな逆転劇が発生しない幸福な国であると主は改めて感じた。
まとめ
司法が被告に逆転無罪を言い渡したことは正しい。
交通事故の加害者の罪が重いか軽いかは別の話である。
だけど、一度罪が確定した裁判の内容を覆して、罪を重ねて認めることは、司法のルールとして不可能である。
ぜひ逆転裁判をプレイして学んでみてほしいところだ。(確か「逆転裁判3」の内容だったはず・・・。)
この裁判は、報道で重要なポイントが切り取られて、被害者側に同情が集まるような報じられ方をしているように感じる。
主としては、多くの国民に真実を知ってほしい裁判のひとつになった。
また今後は、判決を下した裁判長が報復をされないように対策をしてほしいものである。
司法がしっかりと機能している国であると、感じるきっかけになったので、ぜひ安心して暮らせる国家であり続けてほしい。
本日の記事は以上となります。
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